清雅と秀麗は御史台長官である葵皇毅から二人で片付けるよう言い渡されていた案件に関して調査していた。その調査の過程で秀麗がほんの些細な失敗を犯してしまったために、清雅にそのつけが若干回ってきた。その為清雅は偽金事件以来見せたことのないような怒りを露わにしていた。
「お前、何様のつもり?俺様の邪魔をするとは良い度胸だな」
秀麗は失敗に気づいてから何度も何度も清雅に謝っていた。謝って済む問題ではないが、結果的には問題なくことが済んだのだ。しかし、清雅はことある毎にその事を持ち出しては秀麗に食って掛かってくるので、その度に、いい加減許してくれたっていいじゃないの、と内心思いつつも秀麗は額を床につけ
「本当に今回は悪かったと思ってるわ。別にあなたの邪魔をしようと思ってやったわけじゃないのよ」
とひたすら謝り続けなければならなかった。特に機嫌が悪いときには秀麗の胸ぐらを掴んで乱暴に扱ったりもした。葵皇毅にことの次第を報告しに言った際には、葵皇毅は秀麗を一瞥し、清雅に向けて
「ほどほどにな」
とだけ言った。長官が特に怒った様子ではなかったことが秀麗にとって唯一の救いであったが、清雅の態度はあまりに厳しかった。時たま見せる優しさも今は全く見られない。


清雅流遊戯の時間


「それじゃ、こういう事にしよう」
清雅はふっと思いついた様子で秀麗に次のようなことを提案してきた。
「ちょっとした遊びに付き合え。そうしたら今回の事は許してやらんこともない」
ニヤリと笑って更に続ける。
「毒入り饅頭を用意する。それを半分に割ってそれぞれ俺とお前で食べる。それだけだ」
「なんなの、それ…趣味悪いんじゃない?というかあんたも食べる気?」
一体何を言い出すかと思えば、一般人の考えを逸脱している提案だった。でも、清雅なら、あり得る・・・か。
「文句言うならさっさと荷物まとめて出て行くんだな」
それは困る、と秀麗は
「分かったわよ、やればいいんでしょ、やれば…」
と渋々承諾したのだった。


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